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夢の達成は感動から始まる

2005年2月26日、この日は私が指折り数えて待っていた定年退職の日。
そして、在職中、闇研で研究開発した技術をもとに起こした新たな事業に賭ける第3の人生の始まりの日だ。
F 社在職中、カラー記録材料の画像堅牢化研究を行っていた当時、永久に褪色しない画像を作りたいとの夢を抱いていた。そんな二十年程前、伊豆の研修所で白黒ではあったが仏像が焼結されたタイルの壁画に出合った。「どのようにして作製したのだろう?」「これをカラーで作れたら、それこそ永久写真ができるな」と思いながら、その方法が思い浮かばないまま、数年が経過した。
ある日、某経済紙で、「フジカラーサービスとイナックスが、無機顔料を用いてカラー写真をセラミック画像にする技術を共同開発」との記事を見た。私は感動し興奮した。「私が求めていたのはこれだ!」私は、早速関連特許・情報を調べた。そしてこの商品は工程が複雑で、極めて高価であることが分かった。
A4サイズで20~30万円もする代物であった。そこで、これを簡単な方法で安価に(1桁安い値段で)作製する方法はないかと本気で考え始めた。そしていくつかの方法を考え出した。その中で最も有望と思われる溶融転写を利用した方法についてアングラ研究を始めた。
2年ほどして一応原理的にはできることが確認できたが、写真メーカーの製品としては不十分の画質であった。 この画質を抜本的に改良するためにはどうしたらよいか。そうだ、転写技術のノウハウを持つ富士宮研究所(富研)で研究しようと、当時の人脈を通じ、富研への異動の道を探っていた。そこに富研より私が当時所属していた足柄研究所(足研)に「・・・の研究のために足研の研究者数名を欲しい」との要請があることを知った。私はそれに飛びつき、上長に「私を行かせてください」と願い出て、認められた。それから約3年間その・・・の研究に集中し、一応満足すべき成果を挙げて役職定年を迎えた。それからの約1年間、やっと念願のセラミックフォトの研究に専念できた。
このときインクジェット技術を有する宮本昭男氏と出会い、彼のLMIT技術と私のセラミックフォト技術のコラボレーションが始まった。これにより画質も大幅に改良できた。しかしながら、このセラミックフォトの事業は、F社の事業としては市場規模が小さ過ぎ、商品化テーマとはなりえなかった。 そこで、自らビジネスプランを立て、定年の2,3年前からベンチャー起業を目指し、準備を進めた。小田原市の起業塾で学び、「小田原ビジネスコンテスト」に応募し、優秀賞獲得、更に「かながわビジネスオーディション」で入選。この実績をもとに、中小企業基盤整備機構のベンチャー支援助成金の申請を行い、今年3月、10数倍の難関を突破し認定を受けることができた。そして、2005年4月11日有限会社ピクセラ工房を設立した。そこに会社OB3人の協力を得て2006年初春をもって商品の発売に漕ぎ着けた。
これまでの十数年を振り返ってみて、ここまで何とかたどり着けたのも、上司、同僚、実験助手の方々、起業塾の先生方、塾の仲間、それを企画してくださった方々、会社OBの方々、友人知人たち、そして家族等々本当に多くの方々のお陰であったとつくづく思う。何かことを成し遂げようとするとき、周りの方々のさまざまな形の協力が如何に大切かということを心にしみて感じている。そして更に重要なのが、それを実現しようとする本人の強い思い(夢)、そしてそれを支える原動力となる最初の感動です。まさに「夢の達成は感動から始まる」です。 しかし、この夢が真に実るのは、これからの3年間が勝負です。

2006年2月 青野俊明